ハリケーンの余波
フロイド - ハリケーンがもたらした爪痕
フロイド (Hurricane Floyd) -今回、アメリカ東海岸を襲撃した大型ハリケーンの名前です。毎年、この時期にはいくつかのハリケーンが来るのですが、今回のはニュージャージ・ニューヨーク地区に大きな被害をもたらしてくれました。数日前からニュース等で、今回のハリケーンがニュージャージーまでやってくることは聞いていたので、ある程度覚悟は出来ていたのですが、意外なところで被害に遭いました。
実際、ニュージャージー・ニューヨーク付近を直撃したのは、こちらの時間で木曜日の夕方でした。州内の学校はすべて休講になり、お店も午前中で閉まり、昼過ぎには仕事を切り上げて会社から帰る通勤で道路は混雑していました。猛暑で雨が降らなかった記録的な夏が嘘みたいに激しい雨が降って来たのですが、思ったほどすさまじかったわけでもなく、「なんだ、、、この程度か、、、」というのが正直な印象でした。
ところが、次の朝、快晴の青空のもと、ミーティングのため、学校へ車を走らせようとアパートを出て左折しようとした瞬間、警察のバリケードが見えます。よくみると、200m先からいつもあるはずの道が、突然あらわれた水溜まりに吸い込まれています。 川の氾濫でした、、、
家のすぐ横にはRaritan Riverという大きな川が流れています。 この川の水かさが、ハリケーンのせいで40~50cm以上増水したらしく、全ての橋が通行止め、州道もほとんどが閉鎖、おかげで、New Brunswickという小さな田舎町を出るのに1時間以上かかりました。 実際ニュースでは、人がなくなり、停電、断水等の大きな被害が伝えられています。 ところが、実際の雨は、少なくとも、わたしが日本で経験してきた台風のそれとは比較にならないほど軽いものでした。
日本と比較して弱いインフラ?
アメリカのインフラ等を日本と比較した場合、わたしの個人的な意見では非常に脆弱というか、もろいなぁ、、、というのが正直な感想です。こちらの川には堤防というものがありません。 道路の舗装も非常に薄く、洪水ですぐに陥没します。電話の回線もすぐに不能になります。今回の洪水もRaritan Riverに堤防があったら、あれほどの被害にはならなかったのでは、、、という気もします。
確かに、日本では建設省(国土交通省)が中心となって行なっている治水事業に対して、非常に批判的な意見が多いです。私も国の治水事業・工事に対しては懐疑的である人間の一人だったのですが、今回の二次災害を目の当たりにして、全くないというのも問題かも、、、という思いにもなりました。NY・NJ周辺は普段はそれといった自然災害がほとんど起らない場所です。が、一度このような災害に見舞われると、すべてが麻痺してしまうようなインフラで大丈夫なのかと疑問です。こればっかりは、ここで結論を出すのに大きすぎるテーマみたいですね。
【2008/04/18追記】
2005年、アメリカのニューオリンズを巨大なハリケーンが襲いました。このハリケーンは災害だけでなく、格差問題にも大きな波紋を引き起こしましたがこれ以来、アメリカの治水対策も大きく変わってきているようですね。一方、日本の公共工事に対する費用の考え方は全く変わっていません。効率的に税金を使うというのは、どこの国でも永遠のテーマなのでしょうね。