エッセイの出題傾向と対策

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エッセイの出題傾向と対策

Original Date: 1998年3月 8日 

エッセイの傾向と対策 - 概要

「エッセイ対策」のところで、エッセイの問題は各学校のアプリケーション (願書)に添付されているということを書きました。 ここでは、その問題に関して、もうすこし具体的に、 いったいどのようなものなのか?どのような傾向と対策があるか? を皆さんといっしょに考えたいと思います。

まず、エッセイはこれから示すように、 大きくいくつかのパターンに分類できると思います。 まあ、この分類は一般的な解説書を参考に独断と偏見で私が分けた ものですが、、、実際すべての問題を分類して体系化はできないです。 説明のための便宜上のものなので、あしからず、、、。

オブジェクティブ(Objective)

王道中の王道といった質問です。具体的には

  • 志望動機
  • 入学後どのような内容の学習をしたいのか
  • それは何のためなのか
  • なぜ、その学校を選んだのか
  • その学校のどのコースが自分にとって魅力的か

等を書くことになります。 また、具体的問題の指定がなく単にエッセイまたは Personal Statement を書くだけの指示がある場合にも、これを書けばいいはずです。学部(undergraduate)などの場合では、エッセイとしか書かれていないことが多いですが、これを書くのが通常です。

オブジェクティブ(Objective)の出題例

  • How and why did you become interested in enrolling the Smeal College MBA Program? (98 Penn State)
  • Please provide a one-page essay describing your interest in enrollment in our program. (98 Rutgers Univ.)

この質問は大抵の学校で質問されますし、他の出題にからめて必ず書かなければならない内容です。出願する際といわず、留学を志した時点である程度「自分はなぜ留学するのか?」という問いに対する答えを見つけておく必要があると思います。そうすれば、他のエッセイの出題にもスムーズに移行できると思います。

キャリアゴール (Career Goal)

MBA取得後の職業上の目的を書く内容です。内容的には前述の「オブジェクティブ」の一種であり、同時に聞かれることが多いです。たいてい、短期・中期・長期と期間を区切ってそれぞれの時点での自分の目標を書かされます。

できるだけ具体的な目標を書くことが必要になりますし、MBAの成果がどのようにキャリアに結びつくかの説明も必要になります。ですから、「日本経済の構造改革」「地球環境保全」なんて、とてつもなく大きなテーマはかえって説得力に欠けてしまいます。

実際には「会社等でどのようなポジションについて、何をしたいのか」、「卒業後どのような会社をおこし、どのようにビジネスを展開するのか」といったような具体性に富んだ内容がいいのではないかと思います。まぁ、中央官庁にでも勤務しているなら、ビッグテーマでもいいのでしょうけどね・・・(苦笑)

わりと書きやすい問題だと思います。

キャリアゴール (Career Goal)の出題例

  • Describe your post-MBA short (2 years out), medium (5 years out), and long-term (10 years out) professional goals. How do you see the Smeal College MBA degree assisting you in attaining these goals? (98 Penn State)
  • Please discuss your intermediate and long-term professional goals and why you want an MBA at this point in your career. In what ways do you think an MBA degree will help you to achieve these goals? What do you want from an MBA program and why have you chosen the Haas School? (98 UC Berkeley)
  • At this point in your career, what motivates you to consider an MBA degree? How will the MBA help you achieve your professional objectives? Discuss your short-term and long-tern goals.(98 Indiana Univ.)
  • How does graduate study in business administration at the University of Connecticut augment your future plans? (Note: International students should make specific references to employment opportunities in their native countries.) (98 Uconn)
  • Discuss the professional skills that you have developed to date. How will you expand upon your abilities during the MBA Program? What are your short-term and long-term career goals, and how will an MBA assist you in achieving them?(98 U of Washington, Seattle)

自分の業績評価 (Achievement)

自分が過去に行ってきた業績を説明します。決してビッグブロジェクトである必要はないと思います。自分が成し遂げた事業等と、その事業がなぜ今の就学へとつながるかが論理的に説明できればOKです。

この出題は、解答の仕方によっては後述する「コントリビューション(貢献)」にもつながる可能性をもっているので、複数受験するときには使いまわしが効くと思います。

自分の業績評価 (Achievement)の出題例

  • Describe an achievement, personal or professional, of which you are most proud. How does this achievement relate to your ability to pursue the MBA degree? (98 Penn State)
  • Briefly describe a personal accomplishment in your immediate background which you believe provides evidence of your ability to pursue the Master of Business Administration degree. (98 Uconn)
  • Reflect on a time when your efforts resulted in change in an organization. Please discuss your role in these changes. (98 U of Washington)
  • Describe a situation from your immediate background which demonstrates how your level of motivation has allowed you to overcome an adversity. (98 Penn State)

問題解決 (Problem Solution)

一定の課題や過去の経験での困難な事例をどのように解決したのかを説明するエッセイです。次の「倫理的ジレンマ」も、問題解決の一種だと思うので、分類するのは非常に難しいですが、こちらの方が扱われている範囲が広い分、書きにくいかもしれません。

問題解決 (Problem Solution)の出題例(1)

  • Describe an instance when you developed a creative solution to a problem. (98 U of Washington)

例1は、この種の問題の典型ですが、何について書くのかは自分に任されています。内容的には次の「倫理的ジレンマ」を書いても問題ないと個人的には思うのですが、その解決方法に独創性を求められている点が非常にこの問題の難点になっています。

問題解決 (Problem Solution)の出題例(2)

  • Imagine that you are the purchasing manager of a large company. Your organization has had a number of problems regarding a product or service from a vendor. Please write a letter, in proper business format, to address the problem. (98 U of Washington)

例2ですが、自分が購買責任者だという想定で、取引相手に商品のクレームをつける手紙を書くというものです。 結構、奇抜な問題ではありますが、いかに円滑に問題の対処を相手に求め、それを文書化する力を聞いています。 「ビジネスフォーマット」で手紙を書くように指定があるので、英文に関するビジネスレターの知識も問われているのではないでしょうか?

問題解決 (Problem Solution)の出題例(3)

  • Describe the most significant personal or professional decision- making challenge you have ever experienced. How did this experience affect your personal/professional development?(98 Penn State)

自分が過去に直面した決断を迫られた経験を書く内容です。そしてそれが、自分にとってどのように影響を与えたかということまで求められています。

問題解決 (Problem Solution)の出題例(4)

  • Discuss a risk you took that proved to be successful. Also describe a time when a risk you took was not successful. (98 U of Washington)

これも、ちょっと変わってますが、自分が過去にとった「かけ(risk)」で成功したときのこと、また、失敗したときのことを述べます。 成功談は割と書きやすいのですが、失敗談となるとちょっと注意が必要です。 正直に失敗談を書いてしまうとマイナスイメージになるので、そこでの失敗が未来への成功につながるような書き方ができればいいのですが・・・難しいですね(^^;

問題解決 (Problem Solution)の出題例(5)

  • Describe a situation in which you felt compelled to take a stand against the majority. How did the experience strengthen your understanding of leadership? (Indiana Univ.)

自分が多数派の意見に反対せざるを得なかったときの状況を説明し、そこでの経験が自分のリーダーシップを高めるために、いかに役にたったかを述べる問題です。

周りの顔を伺いながら、他人に合わせて仕事をする日本社会において、実際このような状況に出会うことさえ難しいですが、このような問題に対処するためには、常に組織に対して問題意識を持つことが大事であることを思わされた出題でした。

倫理的ジレンマ (Ethical Dilemma)

質問の意図がよくわからないが故に、難問ではありますが、難しく考えすぎないで下さい。ようするに、「究極の選択」を書いて、それをいかにして解決したかを論理的に説明できればいいと思います。まあ、この「究極の選択?」をさがせないため難問ではあるのですが。また、ここでいう「倫理」とは、日常生活での自分の行動規範みたいなものなので、あまり難しく考えないで下さい。 決して、「倫理学」のテキストを読まなくてはいけないほど難しいものじゃないです。

倫理的ジレンマ (Ethical Dilemma)の出題例

  • Describe the most difficult ethical dilemma you have faced in your professional life. How did you resolve the dilemma? (98 Penn State)
  • Describe an ethical dilemma you have experienced and discuss how you handled the situation.(98 UC Berkeley)

実際に書くに場合、どんなジレンマに直面したかを書くよりも、そのジレンマを「どのように解決したか」ということに重点を置いてください。大学側は、受験者が直面したジレンマそのものへの興味ではなく、その困難にどのような「考え方」で対処したのかを非常に重視しています。

ですから、なにが問題なのかを冷静に分析し、最終的な考えにいたったプロセスを論理的に書くと、非常に説得力が増すと思います。ここでの「ethical」は、「考え方」というくらいに理解すればいいのではないでしょうか?

あと、「倫理的ジレンマ」に分類するべきかどうか迷ったのですが、ちょっと変わったタイプの質問として次のようなものがあります。

変わった出題例

  • Assume you are a senior executive in the process of hiring a new manager. What questions would you direct to this potential employee to assess whether this person would be an ethical manager? Please justify your choice of questions. (98 Indiana Univ.)

これは、発想的にはまったく逆で、自分が会社役員として職員を採用する際に、「Ethical」なマネージャーとして適当かどうかの質問を作るというものです。どのような質問をすれば人の「Ethical」さが判るかを考えるという点で「倫理的ジレンマ」に近いと思います。

ようするに、MBAという学位が何を要求されているかということを、これらの質問により理解できます。将来的にはトップに立つ人材として、職業倫理も含めた上での適切な判断力と行動力という資質を備えた人材を大学側も求めているのではないのでしょうか。

多くの大学がこの「倫理的ジレンマ」を好んで出題することからも、そのように思えるのですが・・・みなさんはどうお考えですか?

大学への貢献 (Contribution)

これも日本人があまり得意でない分野の一つだと思います。自分がいかに大学にとって有益な人材であるかを、自分で売り込まなければなりません。

ここで言う貢献とは、非常に広いので、直接具体的なことに結び付けるのが難しいのですが、具体的に例示するなら「日本でのビジネス知識を他の学生と共有できる」とか「学生をまとめる力があるから協力的なムードを造ることができる」など、ちょっと書きにくい内容になってしまいます。

いろいろな貢献の仕方があると思いますが、協調的ムードを作り出すような自分の素質をなんらかの形でアピールするといいのではないでしょうか?最近アメリカでも「競争」から「協力」へと変化しつつあるようですし、私はその方向で書きました。まぁ、「何億ドルも寄付する」なんて書いたら本当に貢献になるのかもしれませんが...(笑)

大学への貢献 (Contribution)の出題例

  • What are some strengths that you would bring to Uconn's MBA Program that would benefit your fellow students. (98 Uconn)
  • Presume you have been admitted into the MBA program. How do you view your role as a student at the University of Washington? (98 U of Washington)

その他 (Others)のトピック

あとは、いろんなタイプのエッセイがありますが、実際はバリエーションがありすぎて以上に分類できないものがほとんどです。上記は数題の内に必ず含まれる可能性が高いエッセイばかりでしたが、それ以外にも少し紹介します。

出題例 (1)

  • "The unexamined life is not worth living." --- Socrates, The Apology by Plato In light of the above quotation, please discuss a decision you have made that, in retrospect, has had a profound influence on your present circumstances. In hindsight, would you have made a different decision? Please explain. (more than 500 words) (98 UC Berkeley)

「内省なき人生など価値がない」というソクラテスの弁明から引用された言葉を参照して、過去を振り返り、現在の自分に一番深い影響を受けた状況を述べるというものです。 また、別の決断を下していたらどうなっていたかというこも聞いています。

何を書くかということで、友人からの受け売りなのですが、自分の今に一番影響を与えた決断といえばやはり就職ということになるのでしょうか?ここではさらに別の決断をしたときの仮定の話までさせているので、他のエッセイよりも違う印象を受けました。物事をはっきりと決めるアメリカで、なぜか曖昧さがただよう質問だったのですが、皆さんはどのように書きますか?

出題例 (2)

  • Do you feel that your grades and/or your GMAT scores adequately reflect your abilities and your readiness to commence MBA studies? If not, why not? (98 Penn State)
  • Please tell us anything else about yourself that you have not had the opportunity to present in other parts of this application. (98 UC Berkeley)

これらのエッセイは、設問の最後におかれ、テストや出題されたエッセイ以外に自分がアピールしたいことを書きます。テストの点数が悪ければ、それを弁解するような内容でもいいと思いますし、他の学校用に使用したエッセイをアレンジして書くこともいいと思います。

このように、オプショナルエッセイを要求されたときは、書かないよりも絶対に書いた方が有利です。(まぁ、問題中に「これは義務ではない」と書かれてますが・・・)以下のPennStateの設問のように、あからさまにGMATスコアについて述べさせるものもあります。

出題例 (3)

  • What do you like about your job? What do you dislike? If you were promoted to senior management tomorrow, what changes, if any, would you make to your former position to address your dissatisfaction(s).

この問題は自分の仕事について好きな点・嫌いな点を述べ、もし次の日から職場の上役になったら、以前の自分の不満を改善するためにどのような策を取るかという出題です。「問題解決」の場所に分類してもよかったのかもしれませんね・・・

出題例 (4)

  • Suppose you had to choose two people- people alive now or people from another era- to travel with you on a transcontinental airplane trip. Which two people would you choose and why? What would you hope to learn from them?(Indiana Univ.)

私が見た問題の中で、もっとも変わっていて、面白いと思った問題です。「飛行機で世界旅行をする時に、2人連れて行くとすれば現代人か別時代の人か?そしてその理由は?彼らから何を学ぼうと思うのか?」という問題ですが、具体的なアイディアも時間もなかったので、私は書けませんでした。

日本の大学の小論文にも確かこんなのがあった記憶があるのですが、、、まぁ、何を学ぶかという最後の質問からも「別時代の人間」を選んだ方が書きやすくなると思います。

エッセイの分類は以上のものよりもまだまだたくさんありますし、いろんな学校の問題を入手してはいますが、あまり掲載しすぎてもごちゃごちゃしますので、この位にしました。


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