プライバシーの限界

プライバシーの限界

Original Date: 2000年4月 1日 

国勢調査、センサス2000が始まりました

国勢調査、調査用紙ならぬ調査冊子といった厚さです 現在、アメリカでもっとも流されている政府のテレビCMに「センサス2000」があります。 センサスってなに?と思われた方もいるかと思いますが、日本でいうところの国政調査です。 10年に1度の大規模な人口統計調査ですよね。

連日のテレビCMと大々的なキャンペーンで、「必ず記入して返送してください」という、しつこい(笑)くらいのメッセージを流しています。 が、それもそのはずで、日本と違い住民票や戸籍という制度のないアメリカでは、これが国の人口を把握する数少ない機会となるからです。

追記:2009/1/9
アメリカと日本の国勢調査の違いで面白いのは調査時期。アメリカは4月現在でカウントしますが、日本は10月1日現在です。私は4月1日現在でアメリカ在住。でも、10月1日には日本に帰ってきていたので、国勢調査上はどちらの人口にもカウントされていました。面白いですね。

また、ここで出された人口統計を基準に選挙の区割りや議員数の割り当てが行なわれるので、政府は必死になっている訳です。 が、必死になっているのはもう一つ理由があります。

前回の調査のとき、マイノリティー(白人以外の人々)の人口がかなりの割合で数えられていなくて、いろんな面で不公平が起きているという事実が浮き彫りになったからです。 

法律上は、「この調査は政府のいかなる他の調査とも関連づけられず、記入事項の秘密は守られる」と書かれていて、犯罪捜査や不法移民捜査には使われないことが保証されているのですが、不法移民してきたマイノリティーたちは、その言葉を信用せず、そのような調査を返す事自体しないといわれているからです。

今回はその教訓を生かしてか、テレビCMや調査用紙も様々な言語(例:スペイン語、韓国語、中国語、イタリア語等)でなされています。 ただ、残念ながら日本語はありませんでした。 やっぱり人口が少ないからでしょうか?

詳細な調査票にちょっと驚き!

国勢調査の記入表:金額を書く覧なのですが、わかります? 金額を書く覧なのですが、わかります?  我家にもついに調査用紙が郵送されたのですが、開けてビックリです。 40ページにも渡る質問の山!! しかもその内容の詳細さにまたビックリです。 年収はもちろん、部屋の状態、家賃、水道、光熱費、電話代、人種、人種の背景、5年前の住所、現在の職業と仕事の内容・・・・・まだまだ書き上げたらキリがありません。

これでは、「他の犯罪捜査や税金捜査に使わない」といっていても、返送したくなくなります。 あ、実名と電話番号も書く必要があるらしいので、これまた悩むところですね。 でも、今回は返送しないと、1件づつ調査員が尋ねてくるらしく、それもちょっと考え物です。 私のプライバシーはどこに行ってしまったのだろう?ってちょっと疑問に思うのですが、皆さんどう思われますか?

P.S.
後から聞いた話ですが、私の調査用紙は「当り」だそうで、こんなに詳しい調査用紙をもらうのは全員じゃないそうです。でも、よりによってなぜ私のところに・・・とほほ

追記:2009/1/9
さらに後からわかったのですが、日本の国勢調査にも2種類あって、詳細な調査票が送られる家庭とそうではない家庭があるようです。日本でもプライバシーの観点から国勢調査に参加しない家庭が増えてきたということで、全戸調査という信頼性もちょっと薄れてきている現在、調査手法そのものが見直される時期に来ているような気がしています。


日時: 2000年4月 1日
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