トップページ > アメリカに暮らして > No.4
No.4 日本人学校の様子
前にも書きましたが、New York州そしてその隣のNew Jersey州にはかなりの数の日本人が住んでいます。だから、日本人の子供のための学校もあります。大きく分けて、フルタイムの日本人学校、そして「補習校」とよばれている、週末だけ日本人の子供を集めて、日本の学校に進学するための教育を補完的にしている学校の二つに分けられます(学校によっては、二つのプログラムを行っている学校もあります)。

 教育学のクラスをとった際に、「どの学校でもいいから、2日間見学に行って、授業の様子、先生の様子、子供達の様子、そして彼等のバックグラウンドなどを報告しなさい」という宿題がでました。私は当時の自宅に近かった「ニューヨーク育英学園」を選び、見学をさせてもらいました。

 育英学園はフルタイムの日本人学校です(週末には補習校にもなっています)。幼稚園児から小学校6年生まで、主に駐在員の子供達が通っています。駐在員として外国に赴任した際、子供を現地校に通わせるか、又は日本人学校に通わせるかは大きな問題のようですが、やはりアメリカでの滞在期間が比較的短い駐在員は、日本への帰国後のことなどを考えて、子供を日本人学校に通わせている人も多いようです。

 私は1年生のクラスを見学しました。生徒数は約30人。驚いたのは、授業の中身はほとんど私が日本で受けてきた教育と変わらないということです。授業は全て日本語で行われ、漢字も学びます。一つだけちがっているのは、毎日英語の授業があるということ。ネイティブの先生がやってきて、約1時間のレッスンです。

 子供達の英語習得に関心があったので、「英語はなせる?」と数人の子供に聞いてみました。驚くことに
「ほとんど話せない」という答えが多数を占めました。彼等の多くは2-3年間アメリカに滞在していましたが、中には6年間もアメリカにいるのに英語がほとんど話せないという子もいました。

 「せっかくアメリカにいるのに、どうして英語が話せないんだろう?もったいない。」と最初は思いましたが、彼等の置かれている環境を考えると不思議ではありません。家ではお父さんやお母さんと一緒に日本語を話し、学校でも日本語、友達もみんな日本人です。24時間放送の日本語のテレビを見ることも可能です。

 このように、日本人学校に通うと、子供の英語習得は非常に難しいです。一方、現地校に通っている子供はいきなり100%英語の世界におかれ、精神的に大きな負担を負うことになります。「現地校プラス週末の補習校」に通っている子供は、「平日だけでなく週末も勉強」することになり、こちらも大きな負担です。

 私は子供がいなかったので、子供の教育について悩むことはありませんでしたが、以上のように、子供を持つ日本人たち(特に短期滞在の駐在員たち)は、どの選択肢をとるか、非常にむずかしい決断のようです。